« どきどきです。 | Main | 巌窟王~第十五幕~ »

モーターサイクル・ダイヤリーズ~奇跡への遥かな旅~

             モーターサイクル・ダイヤリーズ

 「これは偉業の物語ではない。同じ大志と夢をもった二つの人生が、しばし伴走した物語である」  
    エルネスト・ゲバラ・デ・ラ・セルナ   1952年
ポスターやTシャツ、果ては高級ブランドのアクセサリーにデザインされたベレー帽を被り、ひげを蓄えた男を見たことがある人は多いだろう。

「チェ・ゲバラ」

アルゼンチンの名家に生まれ、医者を志しながらもカストロと共にキューバ革命を成功させた男。
そして、国際的な革命闘争に参加し、ボリビアで殺され伝説となった男。
その彼が、「チェ」となる以前、
「エルネスト・ゲバラ」だった頃の物語。

23歳の医学生だったエルネストは年長の友人アルベルトと共におんぼろバイクにまたがり、南米縦断の冒険旅行に出かける。
何処までも続くかと思われる道を土埃を巻き上げながら進むバイク。
恋人とのつかの間の逢瀬。
たとえようも無く美しいが、時に荒々しく牙を剥く自然。
心触れ合った人々。
そして、まだ幼かった彼らが目にする過酷な現実。

青年達の伴走は終わる。
アルベルトは旅を終え、エルネストは旅を続け、伝説になった。

*************************************

エルネストのなんと魅力的なことか。
バカがつくほど正直で、陽気で、負けず嫌い、情熱的、好奇心に満ち、繊細でやさしい青年。
そしてなによりも、とても澄んだ美しい瞳をしていた。
きっと彼はこの旅で知った、世界から虐げられた人々、その悲しみ、不正に対する怒りなどを終生忘れることがなかったのだろう。
「チェ」と呼ばれるようになってキューバ革命を成し遂げた後に日本を訪れたゲバラ。
彼と会った人はみな口を揃えて「澄んだ目をしていた」と印象を語ったという。

この映画でとても胸を打つシーンがある。
それはアマゾン川の対岸にあるハンセン病患者の病棟を見ているエルネストの後姿。
それまでのエルネストの旅を見て、後の彼を思うと
人と人を隔てる川をみつめるこの姿はとても感慨深い。(セリフはいらないくらいに)

豊かさとモラルが共存する世界を実現するために、行動し身を投げ出したゲバラ。
それは、人が起こすことの出来る美しい奇跡のひとつ。
その奇跡のはじまりをこの映画で目にすることができ、とても幸福だと思った。


************************************************

とても素晴らしい映画だと思いますが
勿論、もっと詳しい方はもっと掘り下げて欲しいと思う向きもあるでしょう。
(私も詳しくはないけど、アメリカと南米の関係とか当時の政治的背景とか・・・旅の最後にマイアミに行ったとこあったほうが良かったと思うけど)
でも、十分素晴らしい映画でしたよ。
サレス監督も、脚本も、すべてラテン・アメリカの人ですしね。

|

« どきどきです。 | Main | 巌窟王~第十五幕~ »

映画のレビュー」カテゴリの記事

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/79912/2723316

Listed below are links to weblogs that reference モーターサイクル・ダイヤリーズ~奇跡への遥かな旅~:

« どきどきです。 | Main | 巌窟王~第十五幕~ »