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ギルバート・グレイプ~愛しき物語~

ギルバート・グレイプ

映画のラスト、内容に触れてしまっているので
まだ、ご覧になってない方はお読みにならないでください。

***********

母はこの映画の話を、何度もする。
まるで懐かしい想い出を語るみたいに。
けれど、この映画を観て同じ想いを持つ人は少なくないのではないだろうか?
愛しく、可笑しく、切ない物語。

知的障害を持ち、一時も目が離せないヤンチャな弟のアーニー。
そのアーニーを「私のサンシャイン」と呼ぶ、くじらのように太ったママ。
母の世話で手が一杯の姉。
まだ、思春期のただ中の妹。
主人公のギルバート・グレイプは24歳の若さで、この家族を守るために
自らの青春も、夢も押し殺し暮らしている。

彼が家族を愛しているのは痛いほど分かる。
はしゃぎながら、町で一番高い給水塔に登るアーニーを見上げる眼差し。
(この後、警察のご厄介になってしまうのだが。無邪気で困ったアーニー・・・)
ママに気づかれないように、ママの体重で抜け落ちそうな家の床を補強する姿。
家族を抱きしめる、ギルバートの腕に切ないやさしさを感じる。

誰だって、ギルバート程ではないが、家族を大切に思いながらも
煩わしさ、苛立ちを感じたことがあるだろう。
相反する気持ち。
ギルバートは更に深刻だけれど・・・

アーニーが無邪気に口にする
「ギルバート、僕らは何処にも行かない。行かない。」という言葉はとても残酷だ。
行かないんじゃなく、行けないのだから。

旅の途中の少女ベッキーとの束の間の恋。
ベッキーは子供のようなアーニーにも自然に接する女の子だ。
彼女のやさしさ、聡明さ、自由がどれ程ギルバートの心を揺らしただろう。

家族のための望みを話すギルバートにベッキーは
「あなた自身の望みは何?」と聞く。
「いい人間になりたい」
心の底にある、家族から自由になりたいという気持ちを打ち消したいかのように・・・

些細な、けれどこの時のギルバートにとって許せないことをしたアーニーを初めて本気で殴ってしまった。
家を飛び出すギルバート。

このまま何もかも捨ててしまおうか・・・
明日は旅立ってしまうベッキーと旅立ってしまえれば・・・

戻ってきたギルバートにママは言う。
ママだって自分がどれ程、子供たちにとって重荷なのか解っていた。
ギルバート達の父親が突然、自殺したショックでこんなに太ってしまったけど
子供達の恥になるつもりはなかった。

「ギルバート、お前はひかり輝く甲冑をきた王子様よ」
この言葉がママが最後に残したものだった。

パパが残した古い家が、燃え上がる。

その焔はいつまでも燃え続ける。
ギルバート達や、私達の心で。
家族への愛、やさしさ、思いやり、そして憎しみ。
この焔はその全てだから。

「アーニーは“僕らはどこへ?”
僕は言った“どこへでも!”」

医者に10歳まで生きられないと言われたアーニーはもうじき19歳。
家族はそれぞれの道を進み始めた。
地平線に伸びる、銀の道はどこまでも続いている。

「どこへでも!」

ギルバートとアーニーの旅は始まったばかり。

*************

可笑しくて、暖かくて、ちょっと悲しい。
何度も、何度も一緒に観た人と話たくなる映画。
想い出のように。

演じた全ての人たちが、上等の演技を見せてくれる。
難しい役をこなしたレオナルド・ディカプリオも、
不思議で聡明な少女を演じたジュリエット・ルイスもみんな。
殊に憤りと寂しさを見事にその内面に込め、静かにギルバートを演じきった
ジョニー・デップは素晴らしかった。
彼の真価をみるような演技だったと思う。
本当に素晴らしい俳優。

そして、「マイ・ライフ・アズ・ア・ドック」を撮ったラッセ・ハルストレム監督。
この映画に係わった、全てのスタッフに心から感謝したい。
美しく、やさしい心のこもった映画を本当にありがとうございます。

本当にたくさんの人に観てもらいたい映画です。

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Comments

初めまして☆TBさせていただきました。この映画に対する淀川さんのコメントがずっと心に残っています。「エンドマークの瞬間に思わず力いっぱい拍手した。ホールのすべての観客も私にならって拍手した。こんな映画に巡りあえるのは10年に一度だ」やっぱりいい映画です。TB先にハルストレム監督の新着情報を載せています、よかったらご覧ください♪

Posted by: tommy-style | March 27, 2005 at 05:12 PM

初めまして、TB&コメントありがとうございました!
記事読ませていただきましたが、文章の至るところからいかにこの映画がお好きかが痛いほど伝わってきました。
2つ目の記事の方に、“なんだかレビューじゃ無くなってるし”とありましたが、大好きな作品について書くのは難しいものですよね。
でも、これはいつも自分も思っていることですが、評論家でもなく素人なんですから、“批評”なんてたいしたものではなく、その映画への想いを書いていけたらなぁと思っています。
『マイ・ライフ・アズ・ア・ドック』まだ観れてませんが、やっぱり素晴らしいんですね。
いつかぜひ観てみたいです♪

Posted by: micchii | March 09, 2005 at 09:50 PM

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