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筆の海

虫よ 虫ないて因果が尽きるなら

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「蟲に体を侵食されながら蟲を愛でつつ、蟲を封じる。そういう娘が一人いる」

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荒涼とした土地に建つ屋敷。

その屋敷の地下には膨大な書物の眠る書庫がある。そこにある書物は禁種の蟲を封じた秘書。

淡幽は蟲師のたまと二人、その屋敷に住んでいる。

秘書を守る者として、そして自分の体に住まう蟲を封じるために。

*****

かつて、全ての生命を消さんとした蟲が現れた。

それは異質な蟲だった。

なぜなら本来、蟲は動植物と同調して生きるものなのだから。

その蟲を身重の体になりながら封じた者がいた。

その者は全身墨色になり赤子を産み落とした後、命を落とした。

以来、その子孫の何代目かに一人、体の一部に墨色の痣を持つものが生まれる。

禁種の蟲を体に宿し、その蟲を眠らせる事の出来る力を持つ者。

淡幽の右足を覆うようにある墨のような痣。

狩房家四代目筆記者 淡幽。

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淡幽が背負わされた宿命。

逃げることも投げ出すことも許されぬもの。

それを幼い淡幽に告げるたまの言葉に隠しても隠し切れない苦悩が滲む。

けれど淡幽は宿命を受け入れ、その遣り切れない辛さや悲しみを口にすることなく、蟲に呪をかける時に生じる苦痛をこらえながら、たまの事を案じるような少女だった。

たまの顔に穏やかな微笑が広がる。

人それぞれ人生に逃れようのない命があるのなら、この聡明で心根の優しい少女に会い、仕える事が出来た事は幸せだとたまは思ったのだろう。

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外の世界に出て行く事の出来ない淡幽が最も多く触れるのが、蟲の話。

目にする多くの書物はおそらく蟲に関する書物。

そんな彼女にとって、たま以外に親しんでいるものは蟲だったのかもしれない。例え、その体が蟲に蝕まれているとしても。

だが、身に住まう蟲を眠らせるためとは言え蟲師たちの口から聞く話は殺生の話ばかり。

しかも彼らの言葉の裏には「微小で下等なる生命への驕り、異形のもの達への恐れ」が見え隠れする。

「殺さずとも済むのではないか?」

そんな淡幽の言葉を一笑に付す蟲師たち。

生きようする命に何の違いがあるのだろうか・・・体の痛みは同時に心の痛みを伴うものとなった。

そんな時、ギンコに出会った。

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「じゃぁ、殺さねぇ話な。ああ、そっちのほうが随分、多いな。」

そんなギンコの言葉に口元が綻ぶ淡幽。

時折訪れるギンコの話にどれほど淡幽の心が慰められたろう。

*****

ギンコが手にした書物の文字が、崩れ堰を切ったように書庫の外へと向かう。

封が解けたのだ。

外へ外へと向かう蟲達が、部屋の壁と言わず天井と言わず蠢く。

それはまるで、文字で作った牢獄のよう。

けれど、捕らえられたのは蟲達。

「私にだって出来る蟲封じはあるのだぞ」

そう言って、優雅な動作で蟲達を書物に封じる淡幽。

*****

「文字の海 溺れるように生きている娘が一人いる」

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足が治ったらというギンコの問いに「お前と旅がしたい」と答える淡幽。

この荒涼とした見慣れた土地ではない、文字の中でしか知らない世界へ。

それは、何時のことになるか分からない。いや、叶うことのない徒な望みなのかもしれない・・・けれど・・・

「いいぜ、それまで俺が生きていたらな」

何処にも居場所の無い男が、何処にも行くことが出来ない女に答える。

「生きるんだよ」

そう、薄墨に覆われたような世界に生きていても遠くに見える仄かな灯があれば、それに向かって歩いていけばいい。そうすれば、いつか・・・

「生きるんだよ」

ギンコにも、自分にも言い聞かすように淡幽はそう呟いた。

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というわけで、地上波最後の「蟲師」のレビューです。

ようやく見て、ようやくレビューが終わりました。

素晴らしいアニメーションで、堪能させていただきました。

蟲師のレビューをしてるといつもつい鼻歌まじりに歌ってしまう歌があります。(私はジャイアンなので人に聞かれたくないけど・・・)

それは山崎まさよしの「名前のない鳥」。

でんでろで~ん♪って暗い曲だけど、好きなんですよ。(山崎まさよしの暗い歌って好きだなぁ。「水のない水槽」なんて名曲だと思う。あぁ、なんてエロティックな歌詞だろう♪

「なににすがった時に一つの旅は終わるんだろう。月は今日の夜もしんしんと照らしている。思うのはただ愛しい人の胸で眠りたい・・・」ってフレーズなどは、何度も口にしました。

といういうことで、蟲師のレビューは5月以降に再開すると思います。デジタル放送はなんとか見れるので・・・(しかし、どこが「ということで」ってなるんだ??)

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ウォレスとグルミット~野菜畑で大ピンチ~

ウォレスとグルミット~野菜畑で大ピンチ~

第一作「チーズホリディ」から大好きな作品の最新作。

スクリーンに若き日のウォレス(髪の毛と髭がある。最初、誰だか分からなかった・・)と子犬だったグルミット(耳が短く丸顔)の写真が壁に飾られているシーンのオープニングに、お馴染みのテーマ曲が聞こえてきた瞬間から、もうワクワクしてきた。

こんなにワクワクするのは久しぶりだと思う。小さな子供の頃に戻ったよう。

ワクワクしながら、スクリーンの隅々に素早く目を走らせる。

いつもお馴染みの細部にこだわった、暖かな人の手を感じさせる世界。

ウォレスとグルミットの出動シーンも、必要以上に手間がかかるものでこれまたいつも同じ。(サンダーバードー♪

数々の映画を髣髴とさせるシーンもパクリなのではなく、名作達に捧げる敬愛の念を感じるのは私の贔屓目か・・

最初、豚鼻・出っ歯の出目金顔のウサギ達がちっとも可愛くなくて「・・・・不細工」と思っていたけど(こんな不細工なウサギはそうそういない)、動き出すとこれまた可愛くて可愛くて・・・。イタズラ坊主のウサ公達、拳固で頭をグリグリしたいです。(いじめだよ~それ)本当にもぉ~。

敵役ヴィクターの愛犬フィリップもそう。(意地悪そうな顔がたまらん!

しかし、どう贔屓目に見てもレディ・トッティントンが町一番の美女には見えません・・・。あぁ、でも前作のヒロインだったウェンドレンよりエレガントかも・・・・いや、でもな・・・・。

以前よりもハリウッドテイストになった気がするけれど、(チーズホリディの頃はシュールだった)これはこれでいいんじゃないかなと思った。(短編の「おすすめ生活」は幾分、初期の頃を思い出す出来だったけど)

クレイアニメーションの持つ暖かな質感と素朴で細やかな表現は変わらない。(殊にグルミットの表情の見事な事といったら・・・サイレント映画にこだわったチャップリンが「言葉のない映画こそ世界中の人々が楽しめる」とうような事を言ったけど、グルミットの表情はまさにそれ。)

それにちょくちょく出てくる小ネタも楽しい。

映画が始まってから終わるまで、ずっと顔が綻んでいました。

また、いつかウォレストとグルミットに会えるかな?

ちなみに一番笑った小ネタはほんの一瞬出てきた「尼さんレスリング」。ちっとも家庭向きじゃない!好きだなぁ~、こういうトコ。最高!!

*****

というわけで本当にお勧めの映画です。

内容は・・・・「超娯楽!エンターテイメント大作」って感じです。(相変わらずいい加減だなぁ)

「尼さんレスリング」については劇場にてご確認下さい。

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ところで目にクマ系って・・・

相変わらず「ボヘー」とTVを見てたら、あるCMに目が釘付けに・・・・。

「あっ、宮沢さん!」

チューハイのCMにTHE BOOMの宮沢さんが出ているではないですか。

私はTHE BOOMが好きで、宮沢さんの声が凄く好きなんです。(あと、山崎まさよしの声も好き)

沖縄=島唄=THE BOOMってイメージのCMですね。ナルホド。

勿論、「島唄」も好きだけど、初期の頃の「からたち野道」が特に好き。(勿論、他の曲も好きですが)

「ぐほぉ~」と喜んでいるところに友達から、立て続けに電話が。

一人は「今度、西表島に娘と旅行に行く」とのこと。

おぉ~私も今、沖縄気分だったよ~。いいねぇ、沖縄。私も温く過ごしたいよ~。

もう一人は「レミオロメンのライブを観に東京に行くので(彼女は大阪在住)、泊まっていい?」とのこと。

ライブの彼女としばし話をしていて、「最近、サンボマスターを聞いていいなと思ったよ」と言うと、

「へぇ~、すいさん最近、目にクマ系(山崎まさよしとか、宮沢さんとか、デル・トロを差す)じゃなくて、メガネ男萌え~ですか?」と聞き返してきた。

「・・・いや、ルックスは別に・・・・萌えんよ。(曲とか声だよ、あと歌詞な)」

「そーいえば、すいさん、相変わらずシワフェチ(以前、異性の何処がセクシーだと思うかと聞かれ「服のシワ」と答えたことを差す。)ですか?」

「うん、やっぱ男は服の皺だね。シワ。美しい骨格と体には美しいシワが宿るんだよー!」

としばし、調子に乗って「シワ談義」。

それにしても、目にクマ系とかメガネ男萌え~とかって・・・・

いやはや・・・・。

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思わず笑ったこと

リリー・フランキーと進藤晶子の対談を読んで思わず噴出してしまいました。

男性社会じゃ「アイツ、胸板厚くしやがって」とか「男らしくなりやがって」なんていわれる事ないのに。

というリリー・フランキーの一言。

つい、声を出して笑ってしまいました。(家だったから良かった)

確かに「女らしくあることに抵抗がある人、女らしくしている人に批判的な人」っていますよね。

反対に「男らしくあることに抵抗がある人、男らしくしている人に批判的な人」ってあんまりいませんよね。

女らしいって事に抵抗があるって、下手したらそのジェンダーを下位に見ることになってしまうんでは?と思います。女も男も同等なら、別に女らしくあることに批判的な必要はありません。

同性から、「すいちゃんは男だよ(いや、そーでもないよ)」と言われ、男性からは「すいさん、俺ら寄りだよな」と言われると寂しい気もします。(ま、そうでもないけど。仕方ないですね。わざとじゃないし)

ところで、リリーさん女らしくあることに批判的ではないけど、似合わない人もいるんですよ~。

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電話の使い方

私がイタズラ電話に出ると二度とかかって来ません。

ま、最近はイタズラ電話ってあまり聞かないけれど大学生の頃に女子寮にいた時は何度かかかってきました。

でも、私が電話にでるとすぐに切られる・・・。そして当分かかって来ない。

大体、イタズラ電話なんてやる連中は卑怯者なんでしょうね。ホント。

「イタ電だな」と思うと、どうせ顔も見せられない卑怯者だと思うので、お愛想笑いのひとつでもすればいいんだろうとしっかりお話させて戴きます。

無言電話の場合は愛想良くベラベラ喋りまくります。

「そっちから電話でコンタクトをとっているんだから、なにか喋りたいんでしょう?でも、そっちから喋ってこないならこっちが喋っちゃうもんね」という感じ。すぐ切られてしまうし、二度とかかって来ない。

ちぇっ、根性ないなー。

エッチな電話だと、しっかり聞きますよ。

「ハァ、ハァ、×××・・・・」

「ホウ、ホウ」

と、言いたいところなんですが・・・・

如何せん相手はエッチな事を言う時に鼻息交じりで言うものだから、まともに聞こえない・・・困ったな。で、

「すいません、もっとハッキリ言ってください」

「・・・・ガシャン(電話を切る音)ツー、ツー」

なんだよーっ!根性なし!もっと腹くくってかけてこないと駄目じゃん。

ま、イタ電してくる人も私も電話の使い方が間違っています。(コミュニケーションの道具なんだから)

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アカデミー。

今日はアカデミー賞の発表がありました。

うちはWOWWOWに入ってないのでニュースで見るだけです。

アニメは「ウォレスとグルミット」が受賞。監督のニック・パークは第一作目の「チーズホリデー」を卒業制作として作ったらしいんですが、卒業に間に合わず作り続けたとか。今は大所帯でなんでしょうが、最初は一人で作っていたクレイアニメだったんですよね。本当におめでとうございます!(ハウルは残念だったけどね)

さて、大本命だったらしい「ブロークバック・マウンテン」は監督賞を受賞。

アン・リー監督の作品で私が見たのは「ウエディング・バンケット」と「恋人達の食卓」くらいですが、どちらも面白かったです。

当時、ハリウッドでは確かアジア系の監督はアン・リーとウェイン・ワン(彼の「スモーク」は素晴らしい映画!大好き!)くらいだったなぁ~と思うとなかなか感慨深いですね~。

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とり塩鍋

3月になっても相変わらず寒い日が続いています。

やっぱり寒い日は定番の鍋ですね。

で、今日は「とり塩鍋」です。

作り方は簡単いたって簡単。

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まず、鳥のぶつ切り肉(骨付き)を鍋にいれてコトコト煮てダシ汁を作ります。この時、日本酒とお好みの味になるくらいの塩をいれます。お鍋にすると煮詰まってくるので少し薄味がいいかもしれません。

コクが足りないと想った場合、鶏がらスープ(固形でも液状でも構いません)も加えます。

アクを取りながら鶏肉がホロホロ崩れるくらい煮たらダシの出来上がり。(私は大体、ガスコンロで一時間くらい弱火で煮ます)

大根やニンジンは隠し包丁を入れ別の鍋で軽く煮ておきます。それを出来上がったダシ(鶏肉入り)に入れて基本のお鍋が出来上がります。

あとは、好きな野菜(さっぱり塩味なので、私の場合はあまりクセの強くない野菜を使います)と、魚介類(無くても構いません)を入れて頂きます。

写真では、鶏肉・大根・ニンジン・えのき・椎茸・チンゲン菜・水菜・長ネギ・豆腐・渡り蟹を入れました。

そうそう食べる際、薬味を使って頂いたほう美味しいです。

薬味はゴマ・七味・ゆず胡椒・葱など。お好みで色々と・・・

最後は勿論、ご飯・卵・葱・ゴマを入れて雑炊にします。ポン酢を少したらしても美味しいです。

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