このところ、だらだらと長雨が続いていますが、もう入学シーズンなんですね。
入学式といえば、高校の入学式が一番印象的でした。
体育館に入った途端、コーラス部の「ハレルヤ」の合唱をバックに先輩達の大声援が飛んでくるんですから・・・引率してる先生達に対して。
「可愛いっ!!A子ちゃーん!!」だの「Kさーん、素敵ーっ!!」だの・・・・声援を受けてる当の先生方はニコニコしてるし・・・・
「えっらい、くだけた学校だなぁ~」と思っていると今度は校長の登場。ここでも、「Aちゃーん!!カッコイイ!!」などと大声援。これに対して校長は、
「やぁ!娘達♪」(県立の女子高だったので娘共しかいない)と満面の笑みで、手を振って答えていました。勿論ここでまた大声援。
まぁ、Aちゃんこと校長先生のお話の時は先輩方も静かにしていて、校長はここがどんな校風だとか(ここまでの様子で分かるけど)話してくれたんですが、最後に「大切な事があります」と言い出しました。それは・・・
「学校で二頭の犬を飼っていて、その犬たちの為に募金をよろしく」との事。(確かに入試の時も犬を見かけていたので私も不思議に思っていた)
その犬達は学校に捨てられていた子達で、散々引き取り手を探したけれど見つからず、かと言って保健所に引き渡すのも忍びないということで学校で飼うことになったそうです。
学校で犬を飼う条件は「生徒達が犬の世話を全てする事。犬に掛かる食事代や獣医代などといった諸経費は生徒達の寄付で全て賄う事。」だったそう。
「新入生の君達も先輩達の気持ちを考えてね♪」と言って校長は大Aちゃんコールの中、またも手を振りながら壇上を去っていきました。
入学当日からそんな感じだったから高校時代は本当にノビノビ楽しい3年間でした。
大体、「うちは受験の為の授業はしないぞー!」って事を言ってくれるし、職員室はないし(そのかわり英語研究室とか数学研究室などがありそこに各教科の先生達がいて、職員会議は会議室で行なうことになっていた。美術研究室や地学研究室なんて一人部屋でした。贅沢だなぁ~)、生徒とホウキでチャンバラとかする暢気な学校でした。
あの高校を選んだのは「家から歩いて10分だから」(一番近い学校だった)という理由だったけど、楽しい学生生活でした。本当に。
そうそう、学校の犬達なんですが、ちゃんと「犬係」がいて(学年ごと数名、名乗り出る事になっている)交代で毎日朝晩散歩やご飯などのお世話をして、予防注射に連れて行ったりしていました。夏休みなどの長期の休みに入ると(土日は当番の子がちゃんと来ていた)、犬係の子達が家に連れ帰り世話をしていました。
犬達が幸せかどうかというと、悪くない生活だったのではなかったかなと思います。少なくとも、保険所に行くよりは良かったのでは・・・
生徒たちは皆、犬達を見かけると「Y、P」と声を掛け通りすがりに少しばかり遊んでいたし、学校はトラック以外は芝生というか草が青々と茂り、春にはシロツメクサがグラウンドに咲いたりしていました。木もたくさん生えていて気持ちの良い中庭やガラス張りの温室もあったし。(職員の為の木造の独身寮まであった。お化け屋敷みたいだったけど、N先生が一人で棲んでいたっけ・・・)
夏は日の当たらない涼しい木陰にノビノビと寝そべり、冬は日当たりの良いコンクリートの上に毛布をひいて貰い、ぬくぬくと寝ていたっけな。
私が卒業した時はまだ学校にいたけど、この犬達は晩年、犬係の子の家に引き取られていったそうです。ずっと可愛がってもらっていたならいいけど。
卒業アルバムを開くと、二頭の犬がふっくら太った姿で生徒達の真ん中に陣取っている集合写真があります。
嘘みたいだけど、本当の話です。
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