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グットナイト・アンド・グットラック

グットナイト・アンド・グッドラック

“放送ジャーナリズムの父”エド・マローの使う言葉は選び抜かれ簡潔なものだ。余計なものは一切無い。

彼の眼差しは、その言葉と同様に視線の先にいるものの虚栄や偽りを剥ぎ取るように鋭い。

「グットナイト・アンド・グッドラック」

彼が番組の最後で口にする言葉を聴くと張り詰めた緊張感からようやく開放される心地がして、小さく溜息が出る。

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CBSの報道番組「シー・イット・ナウ」のキャスター、エド・マローと番組スタッフ達はマッカーシーを批判する番組を放送する。全てを失う覚悟で。

彼らを突き動かしたのは、ジャーナリストとしての良心と責任だったのだろう。

言論の自由を謳う報道機関までもが、知らぬ存ぜぬといった態度を崩さない中で、マロー達の静かな戦いが始まった。

そして、この番組をきっかけに今まで沈黙を守っていた人々が口を開き始めた・・・・

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モノクロームの画面が美しく、流れるジャズも素晴らしい。

クルーニー監督のエド・マローに対する敬意が全編に溢れる誠実な映画だと思った。

最も興味深かったのは、マッカーシーを批判する番組の中で声高にマッカーシーを攻撃するのではなく、これまでの彼の演説ぶりを見せ、後の番組ではマッカーシー本人に自由に反論させたことである。この事がマッカーシーの人品を浮かび上がらせることになる。幾千万の言葉よりも映像が雄弁に物語ることを知っているテレビマンらしい戦略だと思った。

どの俳優たちも素晴らしく、殊に主役のマローを演じたデビット・ストラザーンの真摯で冷厳な眼差しの素晴らしいことといったら・・・。見てるこちらまで、ピリピリする心地がした。

ところで、マッカーシーイズムというマス・ヒステリアは一体なんだったのか?根底にあるのは「共産主義への恐怖」なんだろうが、その恐怖の根拠は一体なんなのか?(スターリンが君臨する共産主義に対する恐怖なら分からないわけでは無いけど・・・でも、スターリンは共産主義そのものではないだろう?馬鹿な私には本当によく分からない)

具体的な根拠がないまま、「赤」という言葉で人々の不安を煽り、コミュニストやリベラル派の人々を糾弾していく、「異論の排除」。「共産主義の恐怖」よりその事のほうが余程恐ろしい。

思想そのものが恐ろしいのではなく、思想を操って権力を欲しいままにすることが恐ろしい。

そして、その権力に流される世論も恐ろしい。

この映画でマロー達はマッカーシズムに勝利するものの、苦い結末が待っている。

「テレビは人を欺き、笑わせ、現実を隠している。それに気付かなければ、スポンサーも視聴者も製作者も後悔する事なる」とはマローの言葉だ。

以前、わが国の新聞、民放のニュースは「メディアを利用するのが上手い」だの「劇場型選挙に国民が踊らされた」だのと伝えたが、世論の関心を引くために望んで利用され利用したのは自分たちではなかったのだろうか?その事に触れずにワイドショー風の報道を垂れ流しにするのはどうなんだろう??

自分を含めてもう少し考えたほうがいいと思う。

私個人としてはテレビは面白可笑しくても構わないしそれでいいと思うけど、報道番組は本当にちゃんとして頂きたいです。

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