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草ひばりのうた

「草ひばり」

その本を読みながら、小さな虫につけられたこの名前はなんて愛らしいんだろうと思った。

私が手にしている本はラフカディオ・ハーンの「日本の面影」。

この本を買って読んだのは19年も前だけれど今も時々、引っ張り出しては大切に読む本の中の一冊だ。

ここに収められている作品はどれも大好きだが、「人形の墓」「乙吉の達磨」「露のひとしずく」「草ひばり」「蓬莱」は私にとって特別なものだ。

ハーンの有形無形のものに対する愛しむような眼差しを文章の中で感じるとき、穏やかで暖かなそして少しばかり哀しい気持ちで心がいっぱいになる。

あの独特のヘルン言葉も(節子夫人との間で使われた言葉)素朴で暖かい。

「此の本皆あなたの良きママさんのおかげでうまれましたの本です。なんぼう良きママさん。世界でいちばん良きママさんです。」

幼少の頃に家庭というものに恵まれなかったハーンが流れ着いた異国の地で得た家族はどれほど大切だったか容易に想像できる。

「小サイ可愛イママサマ・・・・」

で始まる節子夫人宛ての手紙も微笑ましい。

十四年間の日本での生活の中で最後の最後まで彼は書くことに力を尽くした。

最後の最後までうたい続けた草ひばりのように。

そのうたは長い時を経てなお、人の心を揺り動かし続けていると思う。

飼っていた松虫が少し声を枯らした時にハーンは節子夫人にこう言ったという。

「あの小さい虫、よき音して、鳴いてくれました。私なんぼ喜びました。しかし、だんだん寒くなつて来ました。知ってゐますか、知ってゐませんか、すぐに死なねばならぬということを。気の毒ですね、可哀想な虫」

二人は約束した。

「この頃の暖かい日に、草むらの中そつと放してやりましょう」と。

この数日後にハーンは亡くなったという。

*****

参考にした本は「日本の面影」、「小泉八雲~西洋脱出の夢~」です。

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