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悲しみが乾くまで

主演のデル・トロがオードリーとジュリーの関係を

「目が見えない人が、目の見えない人の手を引いているような関係」

とインタビューで答えてたのを何処かで読んだ。

実際、この映画を見て「なるほど」と思った。

*****

緑が溢れる美しい家。なんの不自由も無い生活。可愛い二人の子供・・・そして、優しい夫。

オードリーの日常はとてもとても幸せだった。

不満があるとしたら、それはたった一つ。

夫、ブライアンの親友であるジュリーのこと。

オードリーはジュリーを嫌っていた。

元・弁護士で麻薬中毒者の彼を皆が見捨てているのに、夫だけは親友として昔と変らずにずっと付き合いを続けていた。

時にオードリーと口論になることさえあっても。

けれど、それは些細なことだった。

幸せだった。

ある日突然、夫が死んでしまうまでは。

オードリーはジュリーに

「私たちと一緒に暮らさないか」

と持ちかける。

オードリーと子供たちは夫と父親を、ジュリーは親友を。

大切な人を亡くした人達が一緒に暮らし始めた。

*****

オードリーにとってジュリーは夫の代わりでは無い。

夫が死んだことを受け入れられない彼女にとってジュリーは同じ大切な人を亡くした仲間であり、夫の存在を感じるための手段だったのではないか・・・

ジュリーを家に住まわせておきながら、時に「あなたが死ぬべきだった」と言い放つ。

そうかと思えば、かつて夫がしてくれたことをジュリーにするように頼む。

そして、ジュリーに懐いていく子供を見て苛立つ。

オードリーの心は揺れ動く。

夫の代わりが欲しいわけでは無い。ジュリーに子供たちの父親代わりになって欲しいわけでは無い。

ただ自分が夫の死を受け入れ、立ち向かうための“何か”が必要なだけだ。

対するジュリーは麻薬に溺れてしまうような弱さがあるが、オードリーが彼に向ける親近感や苛立ちを受け止める姿や子供たちに対する態度を見ていれば本来は繊細で優しい人だったことが分かる。

けれど彼もオードリーと同じように立ち向かわなくてはならないものがある。

断ち切ることが非常に困難な麻薬というもの・・・・

*****

この映画の良いところは安易に恋愛関係にしなかったことだと思う。

もし、そうなっていたら随分と安っぽくなってしまっただろう。

物語の中のエピソードの積み重ねが実に効果的だ。

そして、何度も瞳をクローズアップで映し出す映像によりオードリーとジュリーの心情を見ている我々に想像させる。

文章で言えば「行間を読ませるような」感じか。

繊細で丁寧な映画の作りが安易に恋愛にならない人間の豊かで複雑な関係を表現していると思った。

これを下手な役者が演じるとどうにもならないけれど、ハル・ベリーもデル・トロもとても良かったと思う。

「なんだか、ハー○クイン・ロマンスっぽいタイトルだな・・・・」

と少々警戒していけれど、繊細な人間ドラマで面白かった。

*****

デル・トロの演技は相変わらず素晴らしいのですが・・・・

「また、麻薬中毒!」

ですか・・・・。

最近、ますます外見が色々アレ(ハッキリ言えないな~泣)なので、禁断症状を演じられたりすると本当に凄いことに・・・・。

子供たちと接したり見つめる時の(見た目はアレだが)、ごく自然に押えた穏やかで繊細な演技なんて良いのに・・・・・(涙)

別にルックスが好き(いや、好きだがもう少し痩せて欲しい・・・・今はクマみたいだ)というわけでは無く、彼の演技を見るのが楽しいからいいんですが・・・・

たまには「ヤク中」でもなく「バイオレンス野郎」でもなく「人殺し」でもなく「殺される人」でもないデル・トロの演技が見たいな。

今回は結構見れたほうだけど・・・・「麻薬中毒」とは言え良い役だったと思います。

そうそう、それにしても邦題がチョット恥ずかしかったですね。

原題は確か「火事で私たちが失くしたもの」だったかな・・・・

これじゃ分かり難いか・・・タイトルをつけるのは難しいから仕方ないか。(でも、チケット買う時なんだか恥ずかしい・・・笑)

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