It Hit Like Me A Hammer!
予告したとおりに「デル・トロ祭り」です(スイマセン)
全くの主観で書いてますからご覧になる方はそのつもりで。
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殆ど予備知識を持たず「トラフィック」のベニシオ・デル・トロを見たときハンマーでガツンとやられた気がしました。
あれ以来、デル・トロは私のお気に入りの俳優になったのです。
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「顔立ちを超越した存在感」だの「古谷一行風味」だの「むさ苦しい」だの「小倉久寛さんに似てる」だの「牧伸二」(あ~、嫌んなっちゃう♪)と言われるデル・トロですが(どれも否定は出来ない。特に小倉さんと牧さん)、「演技する獣」などとデル・トロを評したのはショーン・ペンでした。
私がデル・トロを初めて認識したのはブライアン・シンガー監督の「ユージャル・サスペクツ」。
「なんだか“変”な面白い役者さんだな」
と思ったものです。(奇妙な喋り方をしていた)
この映画は素晴らしく面白く出演者も曲者揃い(ケビン・スペイシーやガブリエル・バーンなど)だったのですが、その曲者のなかでもスペイシーとデル・トロが飛びぬけて印象が強かった。でも、実を言うとプログラムを買わなかったこともあり、デル・トロの名前も知りませんでした。
後に「トラフィック」のプログラムに出ていた彼のフィルモグラフィを読んで
「ええっ!?ユージャル・サスペクツのあの背の高いチンピラあんちゃんがハビエール(トラフィックでの彼の役名)だったのかっ!!」
と恥ずかしながらビックリしたものです。
「ユージャル・サスペクツ」「バスキア」「ラスベガスをやっつけろ」「スナッチ」の彼はチョット見ただけでは同一人物に思えない。
服装や髪形や体重を変えているのもあるけれど(「ラスベガス~」の時は+20キロ。今度の「チェ」で-15キロ・・・リバウンドが心配だ。まぁ、腹なんて出しときゃいいけどさ)、醜男にもハンサム(←まぁ、これは好みによるが)にも見える不思議な風貌とデル・トロの演技の賜物だろうと思います。
彼はつかみ所の無い俳優なのですが、人の持つあらゆる矛盾した感情を“しぐさ”と“視線”のわずかな揺らぎで見せてしまう俳優だと思っています。
テンションの高い演技をしている時よりも、控えめに抑えた演技をしている時のほうがずっとスリリングですね。
彼を見ていると彼の演技には“言葉”はあまり重要ではないかもとまで思ってしまう(あの独特な声は非常に魅力的ですが)
そして、なによりも彼はどんな役をしていても(勿論、例外もあるが)どこか“可笑しい”ところがあってそれが一番魅力的なところです。
「トラフィック」のプールでのFBI相手の交渉シーン。すっ呆けたデル・トロがとても魅力的だったし(一緒に見てた友人もクスクス笑っていた)
「スナッチ」の葉巻をくわえたままの着せ替えシーン。伊達男のはずなのに、なんとも間抜けで素敵
「21g」の自殺に失敗しジタバタするシーン。非常にシリアスな映画なのに、「失敗するに決まってるじゃん・・・・」とチョット笑ってしまった私はロクデナシなんでしょうか?
「シン・シティ」の生首状態での会話シーン。正直言ってあの映画は嫌いなんですが、デル・トロとデヴォン・青木だけは面白かったですね。(ロドリゲス~っ、「デスペラート」は凄く面白かったのに)
と、際限なく出てきますね。
人は寂しく、切なく、いじらしい・・・そしてチョットだけ“可笑しい”。その“可笑しさ”が哀しくどこまでも愛しい
デル・トロを見ているとそう思うのです。
もっと演技の上手い俳優さんや素晴らしい俳優さんがいると思いますが、私にとって最も心地よい演技を見せてくれるのはデル・トロなんですね。
美形とは言い難い暑苦しい顔、くぐもった不思議な声、役作りで体重を増減させたせいか「あぁリバウンドが・・・・(泣)」と思ってしまうキレの足りない体(ハリウッド俳優にとって必須であるジム通いなんてしてなさそうだな~、もっともハーベイ・カイテルのようにガチムチ・カメ腹になられてもチト怖いけど・・・あっ、ハーベイ・カイテルは好きな俳優さんですが裸は勘弁していただきたい、彼が脱いだ映画「ピアノ・レッスン」を見た晩にガラパゴスの夢を見ました・・・カメ、カメ、ロンサム・ジョージ)、キューティクル・ゼロ!の多毛剛毛(仲間だ!)、・・・・そんなデル・トロが矛盾する感情を抑制された演技で表現するときの面白いこと
映画自体の出来が悪くても、彼の演技を見るだけで楽しいです。
まぁ、ただ奇人変人を演じると最近やり過ぎる感じがしますが・・・(「プレッジ」の時なんて、やりすぎだと思う)
今回、カンヌ国際映画祭で主演男優賞をとり、スタベを貰っている姿を見ると一ファンとしても喜ばしい限り。
良かった、評価されるっていいよね。
あとはそうですね、そろそろ「殺される役」を減らして欲しいかな?(悪党面だから仕方ないが殺されすぎだ!)
ジャンキーの役も卒業してほしい。
それとたまにはラブ・ストーリーも見てみたいですね~♪
セクシーだのなんだのと言われるわりには(しかも結構モテるようだ)、ラブ・シーンには殆どお目にかかった事がないんですよね~。キス・シーンもあまり無いな~。
キスより殺されることのほうが断然多いってのは如何なものでしょうね~。(事故とか病死ってのは皆無。一度だけ自殺があったけどあとは確か全部、殺られている・・・・デル・トロの映画見るたび「いつ死ぬのか?いつ殺されるのか?」とスリリングで仕方ない)
「チェ」も(タイトルロールって初めてだ!)きっと日本でも公開されると思うので楽しみですし(でも上映時間が長いよ)、「チェ」のあとはジャック・ニコルソンと共演した「ウルフマン」ですね。
あぁ~、狼男か。特殊メイクなしでいけそうですね(冗談抜きで・・・泣)、またノリノリの怪演なんでしょうね~、まぁ見たことはないけどデビュー作では“犬”を演ったらしいし無問題でしょう。
ドンと来い!奇人変人!ビックリ人間!
もう、慣れっこですよ。(←殺されるのもね)
牧伸二さんと言われるのも、小倉さんと言われるのも(笑)
確かに似てるし
女性フォトグラファーに「息を飲むほど素敵だったので、写真を撮らせて貰った」と言われたことも確かにありました。
遠い昔のことさ~♪
←それがこの写真だ!
鼻の下が妙に間延びしてるんだよね~。
でもって三白眼だ。
この頃はまだ、痩せていた・・・・
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さて、そんなベニシオ・デル・トロの出演しているお勧めの映画を幾つかピック・アップ。
- 「ユージャル・サスペクツ」 監督:ブライアン・シンガー
最後に「やられた!」と思ってしまう傑作サスペンス映画
見て損は無いと思う
変な喋り方をする忍び込みのプロ“フェンスター”役 - 「スナッチ」 監督:ガイ・リッチー
気楽に見れるクライム・コメディ
宝石泥棒“フランキー・フォー・フィンガー”役
デル・トロのコミカルさが楽しめる作品
共演しているブラッド・ピットは「ユージャル~」でのデル・トロの演技を真似しているそう。
とにかく、お馬鹿な犬が出てきてこの子が凄く可愛い♪ - 「トラフィック」 監督:スティーブン・ソダーバーグ
巨大麻薬カルテルを描いたサスペンス
デル・トロはこの作品でアカデミー助演男優賞を受賞
麻薬組織同士の抗争に利用されるメキシコ・ティファナの刑事“ハビエール”役
ラストの彼の表情がこの作品の本質を表している。
この作品について残念な点は、麻薬取締最高責任者になった判事のパート。
登場人物個人への共感を必要とする映画というメディアで「社会のシステム」そのものを描くのは非常に難しい。かと言って共感を得るために人間ドラマに比重を置いてしまうと「メロドラマ」になってしまう。
判事のパートはその「メロドラマ」の要素が強かった。
このパートを突き放したものに出来なかったためにこの映画は「社会派映画」になりきれなかったのではないかと思う。(同じことは「ハゲタカ」や「クライマーズ・ハイ」にも言える)
ただこの映画で社会構造の中の個人の限界を描いた手腕は見事だと思う。 - 「プレッジ」 監督:ショーン・ペン
幼児殺人事件の捜査をするうちに妄想にとりつかれていく老刑事の姿を描いたクライム・ドラマの秀作
ジャック・ニコルソンの演技が凄まじい、そして辛い
デル・トロは容疑者となる知的障害のあるアメリカ先住民で出演
冒頭から飛ばし過ぎの演技に空いた口が塞がらなくなった・・・あれはやりすぎだろう・・・
デル・トロ云々というより映画そのものが秀作だった
他にもデル・トロの演技を楽しめる作品はまだまだありますが、映画そのものの出来が悪くないなと思ったのはこれらの作品です。(あくまでも主観です)
「21g」は演技も良かったけど、作品そのものが監督の前作「アモーレス・ペロス」に及ばなかったし、ナオミ・ワッツの役の行動がどうにも気持ち悪くて苦手ですね。
「誘拐犯」は“血の見せ方”があまりにも酷く(趣味悪いよアレ!)映画館で大量の血の匂いを思い出してきつかったですね。あれを見ながらビール飲んでるおばちゃんがいてビックリでしたよ。
「エクセス・バケッジ/シュガーな気持ち(ひぃ~、恥ずかしい・・・・)」は、唯一といえるデル・トロのラブ・コメ。ダサくて馬鹿で人の良い可愛い自動車泥棒のデル・トロが拝めるのは貴重ですが(ホクホク♪)、とにかく脚本がダメダメで・・・(泣)なんとかならんかったのかねぇ・・・
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以上、デル・トロ祭りでした!
最後に「トロ様」とは呼ばないでね♪







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