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西の魔女が死んだ

「おばあちゃん、大好き」
「I know」

映画の中で何度かこの会話が出てくるが、その度に胸が痛んだ。
私は「あの時あんな事をしなければ良かった」などと滅多に思わないけれど(自分が選んで行動したことは自分に還ってきて、その“責め”を負い責任をとるのは自分自身だからだ。後悔するよりも、その失敗を繰り返さないよう次に生かしたい)、でも時には「あの時・・・」と後悔することがある。
それは、もう二度と会えることの無い人が相手の場合で・・・・もう、自分の気持ちを伝える術がないから。
そんな事を思いながら、スクリーンに映し出されるおばあちゃんとまいの優しい生活をボンヤリ見ていた。

*****

「西の魔女が倒れた・・・もう、だめみたい・・・」

西の魔女とはまいのおばあちゃんのこと。
おばあちゃんの家に向かうママの運転する車の中でまいはおばあちゃんと一緒に暮らし“魔女になるための修行”をした時のことを思い出していた。

2年前、突然まいは学校へ行けなくなった。

そんなまいをママは暫く自分の母のところへ預けることにした。

大好きなおばあちゃんとの暮らし。
日本の田舎暮らしというより、英国の田舎暮らしといったほうが良い牧歌的な生活(まぁ、おばあちゃん自身が元々英国人なのでね)。

その暮らしの中でまいは“魔女修行”をすることになるのだが、おばあちゃんの云う“魔女修行”は「早寝早起きして、ご飯をしっかり食べて規則正しく生活する」ことと「何事も自分で決めて、自分で決めたことは最後までやり通す」ことだった。
一見単純だが、人が健やかに成長するためには、とても大切なことをおばあちゃんは教えてくれた。

でも、まいはおばあちゃんと気まずい別れ方をしてしまった。

*****

「まいのような子が生まれてくれたことを私は感謝しています」

子供にとって無条件に自分を大切に思ってくれる人がいてくれることは本当に大切なことだ。
勿論、まいの両親もまいを誰よりも大切に思っているけれど、親は子に対して“親”という“顔”を見せなくてはいけないし、子は子でそんな親に対して信頼や愛情を持つと同時ににどこか意地を張ってしまうものだと思う。

けれど、祖父や祖母といった存在は子供にとって親とは違う“特別な存在”なのだろう。
意地を張ったり、つっぱる気持ちも必要ない、ただその懐に飛び込める相手。

母親に
「もう学校へは行かない、あそこは私に苦痛を与えるだけの場所だから」
とチョッピリ大人びたことを言ったまいが瞳を輝かせておばあちゃんに
「私も魔女になれる?魔女になるにはどうしたらいい?」
と訊ねる姿に頬が緩んだ。
おばあちゃん相手なら素直になれる。
どんなことだって話せる。
まいのおばあちゃんに対する信頼感が微笑ましい。

聡明なおばあちゃんはいつもまいの話を最初から最後まで聞き、まい自身に考えさせ決断させる。まいの感情が高ぶっている時は落ち着かせ、より良い考えが浮かぶように優しく導いてくれる。
おばあちゃんがまいに教えてくれたことは、まいにとって一生自分を支えてくれるものになるはずだ。

けれど、そんなおばあちゃんと気まずいまま別れてしまった。
寂しそうにまいを見送るおばあちゃん
まいが最後に見たのはそんなおばあちゃんの姿だった。

*****

人は人と別れるとき、これが最後になるかもとはあまり考えないものかもしれない。
けれど、それが永久の別れになることもある。
「優しい言葉をかけたかった、もっと笑顔を見せたかった・・・・」
そう思ってももう相手には届かない。

もう二度と目を覚まさないおばあちゃん。
そのおばあちゃんの前でほんの少しだけ母が見せた“子供の顔”。
この時、まいは母がどんな時でも“親の顔”でいなくてはならない辛さを知っただろう。

以前、おばあちゃんにまいは聞いた
「人は死んだらどうなるの?」
「そうですね、では私が信じている話をしましょう・・・」

おばあちゃんと不本意な別れ方をして後悔しているまいにおばあちゃんは最後の約束を果たしてくれていた。

「おばあちゃん、大好き」

まいがおばあちゃんと別れるときに一番言いたかった言葉。
言えなかったけど、きっとおばあちゃんには届いているはず。
そして、こう答えてくれる

I know

******

なかなか良い映画でした。
ただ、ちょっと思うところがあってレビューするのが難しかったですね。

イギリス人のおばあちゃんと云うことなので、赤毛のアン風というかお洒落な田園生活って感じでそういうのが好きな人にはたまらない生活でしょうね。
これがコテコテ(??)の日本人のばあちゃんだと「がばいばあちゃん」風になるかもしれません。
キッシュじゃなくて、サトイモの煮物とかが夕食に出て、娘の顔を見にきたまいのパパが
「母さんも、こんな煮物が作れたらいいのに・・・この漬物美味しいな~♪」
「あの子にも教えたんだけどね~」
なんて会話になるのだ。
家の畑の作物もレタスやハーブじゃなくて、白菜に大根だ。
・・・・あまりヒットしなさそうですね。

映画館は満員御礼で、最後は結構すすり泣きが聞こえてきました。
うん、気持ちはわかります。

あんな田舎暮らしっていいなと思うけど、まず経済的に余裕がないと無理ですね。
「おじいちゃんも教師だったみたいだし、きっと資産もそこそこあるんだろうな~」
などと考えながら見ていた私はやっぱりロクデナシでしょうね。

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Comments

良い映画でしたね~♪
でも、確かに実際、あんな暮らしするのは難しいでしょうね。
まず、金銭的な面で。
ロト6で一等当てないと出来ないかも(笑)
都会暮らしが長くなると厳しいでしょうし。
私はゴッキーくらいなら、素手で潰す無神経な人間ですが、ナメクジはやっぱり嫌いですね~。あと、ヒルも嫌だな。
私も買い物は心配ですよ。
いくらなんでも、砂糖とか作れないですしね~。
「かもめ食堂」でも今回の「西の~」でも思ったけど、ヒットの要因は「ちょっぴりお洒落なカフェ風味」なのかもしれませんね。
映画を見ながらこんなことを考えるのは、やっぱりロクデナシです(笑)

Posted by: すい | July 23, 2008 at 08:14 PM

ほんとうにいい映画でしたね。

母の実家で祖父母と過ごした夏休みや春休みを思い出しました。
農家で、牛を飼っていて、自然がいっぱい。
もっともお昼はサンドイッチではなく素麺、冷麦の日々でしたが。

いわゆる9時から5時までの勤めに行かなくていいなら、ああいう暮らしもいいかな?とは思うのですが、「買い物どうするんだろう?」とまず思ってしまう自分はやっぱりダメでしょうね。

Posted by: TONE | July 23, 2008 at 12:57 PM

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