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リトル・ダンサー

※ネタバレがあるので注意してください

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「バレエダンサーになりたいんだ」

バレエなんて女あるいはゲイのするもので、男の子はサッカーかボクシング或いはレスリングをするもの。

でも、11歳のビリー・エリオットはボクシングの練習の時に出会ったバレエに心を奪われてしまう。

父さんから貰ったボクシングのレッスン代をバレエのレッスン代にして、女の子達に混ざってバレエを習う日々。
けれど、その姿を父さんに見つかってしまい・・・・

*****

主人公のビリーも勿論良いけれど、彼を取り巻く人達も良かった。
ぶっきらぼうだけど、根は暖かいバレエの先生(ちゃんと推薦文まで書いてくれたんだと嬉しくなった)。
かなりおませな(もう、いっぱしの“女”ですね)先生の娘、デビー。
ちょっと毛色の変った同級生のマイケル。
本当はやさしい兄さんのトニー。
妻を亡くし未来の見えない炭鉱のストなどで余裕を無くしているけど、子供想いの父さん。
そして、いつも家族をハラハラしながら見守っているおばあちゃん。

ビリーは怒りも、やり切れなさも、喜びも“ダンス”にするけれど、彼の“ダンス”でもっとも感動的なのはクリスマスの夜、初めて父さんの前で踊ったダンス。

友達のマイケルとバレエを踊っているのを父さんに見られ、目を剥く父さん(まぁ、そりゃ~マイケルはチュチュを身につけてるしな~笑)の前で踊ったダンスは圧巻だった。

あのダンスを言葉で表現するのは、本当に無粋なことだと思う。

ビリーとってダンスは、踊ることは生きることそのものなのだろう(ほら、無粋になった)。

ビリーのダンスを見た父さんはこの時、初めて自分の息子を知った。
ビリーの才能、夢、彼の生きる意味を
それまで、炭鉱のこと日々の生活に追われ、ダンスは女のするものと決めてつけて気付いてやれなかった息子の本当の姿。

息子の未来を切り開いてやりたい

ビリーにロイヤル・バレエ校のオーディションを受けさせるために、スト破りに参加することに。
でも、それは組合の仲間に対する裏切り行為であり、炭鉱に向かうバスに乗り込んだ彼は仲間たちの容赦の無い罵声を浴びることになる。

罵声や生卵を投げるといった行為そのものも凄まじいのだけれど、なにより“仲間を裏切ってスト破りをしている”ことと“裏切り者扱いされてもスト破りをしなくてはならない人の辛さ”がこのシーンで上手く出ているなと思った。
ストをする者達、スト破りをする者達・・・どちらが正しくどちらが間違っているかなんて決められない。それぞれに事情があり、守らなくてはならないものがあるのだから(こういうシーン見るたびに思うけど卵が勿体無いよね~食べ物を粗末にしちゃイカンよ)

父のスト破りを目にして信じられないトニーの
「なぜ?こんなことを?」
という問い掛けに
「ビリーのためだ。あの子はまだ11歳なんだ。」
と男泣きする父さんと、その父さんを抱きしめて泣くトニーを見ていると胸が痛む。
そう、どう考えてもどんなにストしても、炭鉱に未来は無い。
でも、ビリーにはチャンスを与えたい、自分たちが得ることができない未来を
(・・・・本当にね、子を思わない親はいないはずだけどね・・・・と常々思う今日この頃です)

皆の協力のおかげで、ビリーはなんとかオーディションを受けることに

開かれた未来

そして、やがて静かに終わりを告げるスト

暖かく優しさに溢れたお別れ・・・

先生はやっぱりクールに
マイケルには友情のハグとキスを
黙ってギュッとビリーを抱きしめるおばあちゃんや父さん
寂しくなると告げるトニー・・・

*****

時は流れ、成長したビリーのバレエの公演に向かう父さんとトニー
喜びと誇らしさで胸が一杯の父さんの姿
逞しく立派なダンサーになったビリーが、家族が見つめる舞台へ飛び出していく

道は必ず未来へと繋がっている

*****

劇場で公開された当時、映画館で見ましたが久々に見ても「良い映画だったな~」と思いますね。

もうすでに亡くなっている母さんの不在が実に効果的に使われていて、その事がエリオット家にどれほどの影響を与えているかをさりげなく表現しているところなんて上手いなと思います。

炭鉱のスト(炭鉱と云えば「ブラス!」もあったな)、階級社会、自分たちと異なる者への偏見などが大げさにならず、主題と上手く絡んでいるのも良かった。

ヨーロッパ映画を見ていてつくづく関心するのは
大人は子供に対してしっかり大人でいること
ですね。
「子供と同じ目線で」というのも時には大切かもしれませんが、でも大人は子供が見上げる存在であったほうがいいと思うのですが。
だって、子供は大人を手本に育つものでしょう?
その大人が子供と同じ目線では規範にするものが無くなってしまいますよね。
で、言葉は悪いけれど
「どこを見てもガキばかり」
って、なってしまうんじゃないでしょうか。
そしてサポートすべきところは全力でサポートする。
それは甘やかすこととは違いますよね。

ビリーのバレエの公演に向かう父さんの表情とトニー兄さんのはやる気持ちを抑えられない姿を見ていると、ビリーの家族がそれまで全力でビリーを支えてきたことが分かります。
マイケルも見に来ていたのにはビックリだけど(笑)
あぁ、本来あるべき姿になれて良かったね、マイケル。

いや、本当に良い映画でした。

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