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「風と共に去りぬ」~バトラー船長、お疲れさま~

本屋をブラブラして久々に「風と共に去りぬ」を手にしてみました。
高一の時に読んで以来でしょうか。
勿論、買いませんでしたが。

生意気盛りの高校生だった時に
「ハーレク○ン・ロマンスみたいな話だろうな~(と言ってもハー○クインを読んだことはなかったけど・・・今も無いけど)」
と、なんとなく図書館で借りて読んでみて予想外に面白いなと思ったのでした。
実に良く出来た極上のエンターテイメント小説ですね。

言うまでも無く誰もが知っている作品なので、今更ネタバレは無いだろうと思うので気兼ねなく書きます。

****

私はどうにもスカーレットが好きになれませんでした。
と言うのも、スカーレットが“我が儘な子供”だったからです(レット・バトラーと別れて以降は知りませんよ~)。

「欲しいものを欲しいと言って何が悪いの?自由に好きなようにしてどうしていけないの?」

そう言って憚らない彼女は自分が美しいということを知っているし、だからこそ自分のすることは間違っていないと思っています。
けれど南部の上流社会は「自由であること」を受け入れない、だから彼女は自分が属する社会においては異端であるのに、自分が異端であることが分かっていません。
あぁ~、まるっきり子供じゃないか~と思ってしまうのはそこです。
が、このスカーレットは不思議と魅力的でもあります。

さて、そのスカーレットのお相手のレット・バトラー。
彼もまた非常に魅力的な人物ですが、基本はスカーレットと同じ。
ただ彼がスカーレットと根本的に違うのは自分が異端であると自覚していてそれを全く隠さないことでしょう。

「俺は南部の上流社会じゃ異端な人間だって分かってる。けれどあんたらの言う“上流社会”って何だ?所詮、欧州の貴族の真似事じゃないか?やってることは成金と変らないさ。(←ん?ここまで言ったかは定かではありません)しかも、世の中の流れってのも分かっていない単なる田舎者だよ。ちゃんちゃら可笑しいぜ!」

と言うようなことを平然と口にしてしまうバトラー船長。
その彼を
「下品!サイテー!大嫌い!」
と嫌うスカーレット。

スカーレットは自由にしたいようにする自分を嫌う“上流社会の人間”を小馬鹿にしていますが(「なによ美人じゃないくせに!フン!」とか・・・本当に仕方ないな~)、“上流社会”そのものは嫌っていません。
というよりも、自分がいるべき場所なんでしょうね。そこは。
だから、“上流社会”を小馬鹿にしているレット・バトラーが気に入らない。
しかも、いっぱしの成熟した優雅な貴婦人のつもりの彼女は自分を茶化すレット・バトラーがますます気に入らない・・・いや、茶化されても仕方ないと思うんですけどね・・・・私は。

まぁ、たいへんなのはバトラー船長ですね~。
自分と良く似たしかもそれに気付かない女性に惚れてしまったんですから・・・・
読みながら、気長に辛抱強くスカーレットの“保護者”になって彼女が本来の自分に気付くことを待っているバトラー船長が気の毒になりました。

さて、スカーレットが一途に想いを寄せるているのは、アシュレ。
ただこのアシュレはスカーレットのお父さんが
「アシュレの一族は変わり者だ」
と言うように、南部の上流社会ではやはり少々異端な存在です。
彼は美しく奔放で強いスカーレットに心惹かれますが、自分というものを知っていますから自分に合った相手メラニーと結婚します。
スカーレットがアシュレに恋焦がれる様子はまるっきり似合わない服を欲しがる子供のようです。

そのアシュレの妻メラニー。
アシュレの奥さんですから、スカーレットに憎まれています(笑)。
この物語の中で最も精神的にタフなのはメラニーでしょう。
彼女は自分の夫のことも自分がすべきことも理解しています。
メラニーは自分がアシュレの妻というよりは“保護者”の役割をしなくてはいけないと分かっていますし、実際見事にその役割をこなしてきました。(南部の上流社会の中で少々変っているアシュレをその社会に繋ぎとめる役割もしていたのは賢いメラニーでしょう)
それは彼女にとって“義務”のようなものだったのかもしれません。
彼女にとって不幸なことは体が弱かったことでしょうね。
もし、メラニーが健康であったなら一体どんな生き方を選んだのでしょうか?

そんなメラニーにバトラー船長は敬意を持って接していました。
“保護者”のたいへんさを一番理解しているのはバトラー船長だからでしょう。

とは言うものの一方的な犠牲によって成り立っていた関係というのは長続きしないものです。
メラニーの場合は“恋”というより“自分が果たすべき義務”としてアシュレの“保護者”をしてきたのでしょうし、途中で彼女は死んでしまいますから長続きもなにもありませんが、レット・バトラーの場合は「ちゃんと自分を愛して欲しい」と思っているのですから一方的な犠牲に限界が来てしまいます。
レット・バトラーがスカーレットに別れを告げるのは至極当然のことです。

レット・バトラーが去って、初めてスカーレットは自分が愛していたのは(自分に相応しい相手は)レット・バトラーだと気付き、悔恨の涙を流す(確か流したと思う)わけですが、

「明日には明日の風が吹くわ!」

と世にも名高い台詞を「レットの愛を取り戻してみせる」と誓ってから(確か誓ったと思う)言ったのにはビックリしました。

やっぱり、挫折を知らない傲慢な子供なんだ・・・この人は・・・

ここに至るまでバトラー船長がどんなに辛抱強く待ったことか・・・・
そして「もう本当に無理、もう出来ない」ところまで来てしまったから別れを告げたのに・・・・
まだ、バトラー船長の気持ちを取り戻せると思っているのですから。
・・・・そう呆れている私が間違っているんでしょうかね・・・・

この大河ロマンで一番たいへんだったのはバトラー船長だと思います。
主人公はスカーレットですが、私にとってこの物語は
「保護者となってひたすら辛抱強くスカーレットを想うバトラー船長の純情一代記」
でした。

間違ってるかな?

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