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敵こそ、我が友~戦犯クラウス・バルビーの3つの人生~

クラウス・バルビー 彼は“3つの人生”を生きた。

ひとつは、ナチス・ドイツ親衛隊としてレジスタンスやユダヤ人を迫害したゲシュタポとして生きた人生。
ひとつは、冷戦時のヨーロッパでアメリカ陸軍情報部のスパイとして生きた人生。
ひとつは南米ボリビアで軍事政権を支援して暗躍した人生。

“リヨンの虐殺者”の異名を持つ戦犯の彼が、1987年のフランスでの裁判で終身刑の判決を受けるまでなぜ自由でいられたのか?
その背景には政府や秘密組織やバチカン右派の聖職者たちの思惑が絡んでいた・・・・

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と、非常に興味深い内容で面白い題材なんですが
「もう少し掘り下げて欲しかったな」
と言うのが正直なところでした。

「こういった事がありました」と説明し、証言者が語り、当時の貴重な(見たことがある映像も多いが)映像が流れる・・・・に終始したと言った感じでした。
“ドキュメンタリー”だからそれでいいのかもしれませんが、それでももう少し深いところを見せて欲しかったです。
本来なら一番面白いはずのCIAとの関係もボリビアの軍事独裁政権との関係もあまり詳しい説明がされていなかったので肩透かしを喰らったような印象でした。

当のクラウス・バルビー自身についてももっと深く掘り下げて欲しかったと思います。
とにかく物足りなかったですね。

この題材でイギリスのBBCやNHKが番組を作ったほうが面白かったかもしれません。
凄く期待していた分、残念に思いました。

最も心に残ったシーンは、1987年のフランスでの裁判で証言台に立った女性が証言を求めれても言葉を口にすることが出来ず、絶望したような表情を浮かべ斜め下に頭を下げて涙ぐむシーンでした。

レジスタンスでもなんでもない44人の幼い子供をゲットーに送り命を奪い、ゲットーに送られる父を見送る娘の目の前で、その父をあっさり撃ち殺す。
そういった行為を行った者や、その者たちを“国益”のために使用し関係してきた組織への憤怒や絶望を最も雄弁に語ったシーンのように思いました。

必要があると判断すれば、どんな怪しげな人物とも組織とも手を結ぶ
その底知れぬ闇が消えてなくなることはない

その闇を垣間見るにはいい映画かもしれません。

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