« 11.3両国は買いだ! | Main | 1日ノンビリしたかったら2日分働け »

ソロソロ話ヲシヨウカ。

高村薫の「レディ・ジョーカー」を読み終えました。

私は面白く読みました。

これだけ有名な小説なのにもっと早く読んでおけば良かったかな?と思いましたが、まぁ人と一緒で本にも出会いってのがあるので(「出会わなければ良かった」と思うものもあるが・・・・ね)。

*****

人質は350万キロリットルのビールだ

1995年、業界最大手の日之出麦酒を狙った未曾有の企業テロは1947年に日之出に送られてきた一通の怪文書から始まった。

犯罪が犯罪を呼び、気付けば我々の足元にポッカリと深い闇が存在していた。
それは人の心の闇なのか、企業社会の闇なのか、システムそのものが闇なのか。

その闇に出口はあるのだろうか・・・・

*****

犯人、警察、企業、ジャーナリスト・・・主にこの4つの視点から描かれるレディ・ジョーカー事件ですが、視点が定まらないのでもしかしたら最初は読みにくい場合があるかもしれません(先に読んだ「リヴィエラを撃て」で慣れていたので問題なかったけど)。
が、この4つの視点によって地下金融の辿っても辿っても辿り着けない闇の根深さが浮かび上がるのかもしれません。

物井の中の泣き止むことの無い悪鬼、城山の尽きせぬ苦悩、加納の慙愧の念、久保の絶望・・・・・

読み終わって、物井が呟いた「辛いなあ・・・・・・」という言葉が頭に浮かびました。

そう、ただただ「辛い」

何をもって持ち堪えるかは人それぞれでしょうが、辛い。
辛さに耐え、投げ出さないことかもしれませんね、生きて死ぬことは。

「レディ・ジョーカー」を読み終え私が思ったことはそれでした。

「照柿」で燃える雨に体を打たれ絶望と喪失感と哀しみで崩れ落ちるラストを書いた高村薫ですが、「レディ・ジョーカー」の全身を凍らせるように足元から忍んでくるやませを感じさせるラストもなかなか良かったです。

辛いなぁ・・・・・・本当に

*****

さて、これで合田刑事三部作を全て読んだわけですが、一番面白かったのは「レディ・ジョーカー」で次が「照柿」で、次が「マークスの山」ですね。

「レディ・ジョーカー」は今更云うまでもありませんが、「グリコ・森永事件」を下敷きにした小説です。これは読む前から知っていましたが、
LJを読んでまず頭に浮かんだのが「攻殻機動隊S.A.C」の「笑い男事件」でした。
(「笑い男」のレビューでたくさん同じような意見が出たでしょうけど)

こちらも「グリコ・森永事件」を下敷きにした作品なので、まぁ当然といえば当然なんですが。
合田曰く「政治家とやくざ以外ならなんでもなれそうな」城山社長が、「笑い男」のセラノの社長と被ってしまって。

「笑い男」と「レディ・ジョーカー」の企業テロに対する動悸は全く違うし(私はLJの動悸の方がよくわかる・・・・あぁいう人生は当たり前のようにゴロゴロとある。本当に出口のない人生だなと思う。辛い。その辛さは身に沁みる。辛い。)、真似だのどうのとは全く思いませんが両方見て、読んで良かったです。

「攻殻2nd GIG」の時に丁度、「マークスの山」を読んだ直後だったのでゴーダの名刺を見た時、「合田一人」を「ゴーダ・カズト」と読んだなぁ~などと思い出しました。
きっと「マークス」の合田雄一郎刑事のことが無かったら「アイダ・カズト」と読んでいましたね。

*****

読み終わって満足しましたが、ひとつ
あぁ・・・やっぱりって思ったことがありましたが、まぁ些細なことだからいいですよ。
なんていうか唯一、読んでいて頭がガクッって下に落ちましたね(笑)。
まぁ、とにかく合田さん、よいイブになるといいですねとしか言いようがありません(笑)。

気持ちがよく分かるのは、物井のじいちゃんと城山社長でしたね。
合田、半田はマズイですよ。
本当の意味で「あぶない刑事」ですよ。(いや、物井のじいちゃん含めみんなマズイけどさ)
根来の合田評が
「こんな微妙な目に見つめられたら、理屈ぬきで殴りつけたくなるか、魅入られるかどちらかだ」
でしたが、私は絶対「殴りつけたくなる」でしょうね。
魅入られることは無い!(不健康なのは嫌いなんだよね)

あと、やっぱり先生、「隠微」が気になりました・・・・
次の「晴子情歌」「新・リア王」「太陽を挽く馬」の福澤家三部作では隠微がなくなるかな~
(合田がいなきゃ「隠微」はなくなると思うけど)

しかし、これらを読むのはいつになるやら・・・・

ネタバレしたくないので、事細かく内容について書けないのがもどかしいですね。
もっとも、それをしたら物凄く長くなるし。
システムの中で個人が出来ること、個人の意志、良心などは全く意味のないことように思えますね。
そのシステムを作ってきたのは、我々の無知なんでしょうが。
全身を侵されて、ようやく気付いた時には遅いのでしょう。

読み応えがあって、面白かったです。
そして、心底辛い。

|

« 11.3両国は買いだ! | Main | 1日ノンビリしたかったら2日分働け »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/79912/42802540

Listed below are links to weblogs that reference ソロソロ話ヲシヨウカ。:

« 11.3両国は買いだ! | Main | 1日ノンビリしたかったら2日分働け »