前回の続きです
〈額に青筋が浮かぶ・・・そろそろ我慢の限界か・・・〉
かなり寮暮らしにもウンザリしてきた頃、いつも行っている銭湯が一日お休みだと知りました。
他に銭湯を知らないので、
「仕方ない、あの寮の恐ろしい風呂を使うしかない」
と思い、その日はバイトから戻るとすぐに寮の風呂を洗いました。
久々に風呂場に足を踏み入れると案の定
ピンクぬめりでズルズルしていました・・・・(実話ですよ、実話)
・・・よくこんな風呂に入れるよな・・・
と必死で大掃除し終えると、そのまま速攻で大学へ。
さて、帰宅してから風呂場を除くと
トンデモナイ事になっていました
どんな風にトンデモナイ事になっていたかは・・・・言えません。(思い出すと体が痒くなる)
それにしたって、6時間くらい前に掃除したのに
なんでこんな有様になっているんだ??!!
どこまで汚いのが平気なんだ!!??
と、呆れました。
その日は、風呂に入るのを断念しました。
う~~っ。
風呂だけ我慢すれば・・・・ここの寮は安いし・・・でも、嫌になっていました・・・・
辛い・・・・
〈決定打を打たれる・・・君も掃除を手伝いたまへっ!!・・・〉
京都という絶好の観光地に住んでいたので千葉の友人が泊まりにやってきました。
勿論、前もって
「風呂は銭湯」
と言っておきました。
千葉からやってきた友人その1を迎えに行ってそのまま二人で寮に足を踏み入れた時に廊下に
パンツ(女性の下着ね)
が落ちているのを目撃。
「パンツ・・・・」
と絶句する友人を尻目に
「あぁ、たまに落ちてるんだよね。なんで気がつかないんだろう。」
と言ってソレをつまみ、掲示板のところに引っ掛けておきました。
それまで何度かパンツが落ちていることがあったからです。
『友人その1の証言』
パンツをハンカチを拾うが如く拾っていた私の姿を見てシミジミと
「すいさん、一日も早くここを出たほうがいいよ。なんだか動作が自然だった・・・・」
*****
友人その1が観光を終えて千葉に戻って暫くしてから友人その2が泊まりに来ました。
彼女は
「すいちゃんが汚い、汚いって言っていたから覚悟して来たけど結構きれいじゃん」
と暢気なことを言っていました。
・・・そりゃ~、私が掃除してるからな・・・
さて、土曜日の夜だったので二人で酒盛りに。(今はお酒は飲みませんが)
彼女は東ドイツに留学していた時の愚痴話をしていたんですが、「リアルあいのり」状態で結構面白い話でしたね。まぁそんな留学は嫌だけですけどね、私は。ドロドロしてて。閉鎖された空間での恋愛って嫌だな。(あっ、でも「あいのり」って見たことないや)
深夜、いい感じで酔っていた彼女がトイレに行くと言って部屋を出て行ったんですが、すっかり酔いのさめた状態で戻ってきて
「すいちゃん、トイレ、トイレ凄い!!」
とうわごとのように呟いています。
・・・酔いが醒めたような顔してるけどやっぱり酔っているのか・・・
と思い部屋のドアを開けてビックリ
廊下がトンデモナイことに・・・
「!!」
トンデモナイものを踏まぬようにしてトイレを覗くとやっぱりそこもトンデモナイことになっていました。(本当にどーしたらああなるんだろうか・・・)
呆然として部屋に戻ると友人その2はなんとまだ空けていなかったワインをコップに注ぎながら私の顔を見てゲラゲラ笑い
「見た?!見た?!ビックリだよね?酔いが醒めたから、飲む~!」
などとトボけた事を言うではないですか。(この酔っ払いめっ!!)
そして
「すいちゃん、アレどうする?」
と聞いてきました。
「どうするも、こうするもないだろう。掃除をする!」
と答えて、トンデモナイものを踏まないように、バケツだの色々と掃除道具一式を用意して掃除をしました。
私が掃除をしている間、友人その2は酒瓶片手にドアの間から様子を伺っていたようです。(時々、声を殺して笑っているのが聞こえてきた。手伝え!!)
掃除を終えて部屋に戻ると、友人その2はトイレに行きました。
「いや~、キレイ、キレイ♪」(←この酔っ払いめっ!!)
「おかげで私はすっかり酔いが醒めたよ」
「いや~、お怒りごもっとも。ま、シラフではいられまい」
『友人その2の証言』
翌日、二日酔いで痛む頭を抱えながら
「いや~、目が据わって表情の消えたすいちゃんを見たとき、あぁ珍しくマジで怒ってるな~と思ったよ。夜中の2時過ぎに無表情で淡々と掃除してる姿を見て、思わず酒がすすんだよ。笑った。それにしてもさ、東ドイツの下宿でカビだらけの冷蔵庫を見た以上の衝撃だったよ~」
*****
一連の出来事ですっかり凹んだ私は実家に電話(その頃は公衆電話だった)をして、これまでのいきさつを話しあの寮から出て行きたいと告げました。
母は
「あぁ、やっぱり。廊下でパンツが落ちてるの見て酷いなと思っていたから。ところで、お金は貯めた?」
「うん、来年の授業料のために貯めてるやつを引越し費用にしていいならね」
「授業料は出してあげるよ~。安いし。(実際、夜学なので授業料は安かった)私も
あんな汚い下宿だと京都に遊びにいけない
と思っていたしね~、いいよ」
・・・・結局、自分の都合か・・・・
とは言うものの、この不潔寮を出て穏やかに過ごせるようになると思うと少し心が晴れやかになりました。
今となっては昔の出来事になってしまった京都の秋の思い出です。
*****
〈私信〉
になになさん、ありがとうございます!
誉めていただいて恐縮です。
あまり健やかな人間ではないんですが、そうありたいとは思ってます。
一応・・・へへへ
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